コラム

■スライスの原因と対策(その3)アウトサイドイン軌道を改善する方法

今回は

「アウトサイドイン軌道を改善する方法」

について説明します。

今回の話は

「アウトサイドイン軌道、かつ、スライスに悩んでいる」

というゴルファーが対象です。

アウトサイドイン軌道を改善する方法。

結論を言うと

「フックグリップにする」

となります。

「倉木さん、フックグリップにするとフェースが開きにくくなるのは分かります。しかし、スイング軌道の変化には関係ないのでは無いでしょうか?」

と思ったかもしれません。

その通りです。

フックグリップにすると言うことは、

「フェースが開きにくくなる」

という特徴がありますが、スイング軌道に直接的に影響を与えることはありません。

しかし、フェースが開きにくくなり、スライスが減ることでスイング軌道が改善されやすくなります。

どういうことか、具体的に説明します。

例えば、アウトサイドイン軌道、かつ、スライスで悩んでいるゴルファーに

「アウトサイドイン軌道にならないように、インサイドアウト軌道でスイングすべし」

と指導したとします。

そして、実際に、インサイドアウト軌道になるようにさまざまなドリルを実践してもらったとします。

その時は成果が出ます。

なぜなら、コーチがいるからです。

コーチがいる場合、弾道の良し悪しよりも、問題の解決に集中します。

つまり、弾道が良かろうが悪かろうが、違和感が強くても、問題の解決に集中できる、ということです。

しかし、一人になったら、どうなってしまうか。

悪い弾道が多くなると、やはり、自分なりに振りやすいスイングをしてしまいます。

つまり、また昔の悪いスイングに戻ってしまう、ということです。

アウトサイドイン軌道、かつ、スライスに悩んでいるゴルファーの場合、インサイドアウト軌道の練習をすると、最初の間はとてつもないスライスが連発します。

嫌になるくらい、極端なスライスが出ます。

なぜなら、フェースを返す、ということができないからです。

アウトサイドイン軌道のスライスなら、目標より左に出てスライス回転するので上手く行けば目標にボールを運べます。

しかし、インサイドアウト軌道のスライスというのは真っ直ぐ、もしくは少し右に出て、そこからさらに右に曲がって行きます。

つまり、目標よりも大きくボールがそれてしまうのです。

これは、見た目にとてもストレスです。

打っていて嫌になります。

コーチがいる場合、このような弾道が出ても

「スイング軌道の改善が第一だから、弾道を気にするな!」

と、しっかり指導してくれるのですが、一人で練習する時は、そうは行きません。

さすがに

「右に打ち出して、さらに右に行く」

という、情けない限りの弾道が続くと嫌になります。

その結果、またアウトサイドイン軌道になり、目標よりもボールが大きく右に行かないようにしてしまうのです。

しかし、最初からフックグリップに握ってインサイドアウト軌道の練習をすれば、スライスしにくくなります。

インサイドアウト軌道の練習をしても、大きく右に行かないので、(うまくすればドローが出る)アウトサイドイン軌道の改善が一人でもできます。

だから、フックグリップにすることは、アウトサイドイン軌道の改善に「間接的に」有効なのです。

「フックグリップにするなんて、一時しのぎじゃないか!フェースをキチンと返し、そしてインサイドアウト軌道の打ち方をすることが、根本的な解決じゃないのか!」

と言う意見もあります。

その通りだと思います。

私も、それが一番、理想だと考えます。

しかし、いきなりそれをやるのは、難しいのです。

つきっきりでコーチが指導してくれるなら、そういう方法も良いでしょう。

しかし、多くのゴルファーは、一人で練習する時間の方が圧倒的に多いです。

いきなりフェースローテーションとインサイドアウト軌道の両方を実践するのは、ハードルが高く、ゴルフが嫌になってしまう可能性が高いのです。

ならば、まずフックグリップにしてフェースの開きを抑え、インサイドアウト軌道をマスターしやすい環境を作ったほうが結果的に近道です。

よほどセンスがあるか、よほど練習にうちこめるか、何かしら特種な理由がない限り、フックグリップにしてインサイドアウト軌道をマスターしたほうが良いと、私は経験上、考えます。

そういった理由から

「フックグリップにしてしまうことでフェースが開きにくくなり、インサイドアウト軌道をマスターしやすくなる」

と言えます。

・フックグリップについて

それでは、フックグリップとは何か、どうやって作るのか、を説明します。

まずは下の図を見てください。

左がスクエアグリップ、右がフックグリップです。

フックグリップとは、

「手が開いた状態(フェースが開く方向に回転した状態)でフェース面がスクエアになるグリップ」

「フェースが開きにくくなるグリップ」

「フェースが閉じやすくなるグリップ」

であると言えます。

フックグリップの作り方は簡単です。

通常よりも両手を右回転(フェースが開く方向に回転)させてクラブを握るだけです。

クラブを握った後に、手を回転させても意味がありません。

単にフェースを開いて構えることになるだけです。

あくまで、手だけ開いた状態で、その後、グリップをすることです。

目安としては、上の図のように

・右手の親指と人差指のY字が右肩を指す

・左手の拳が3〜4個見える

となります。

スクエアグリップのの場合は

・右手の親指と人差指のY字が右肩と首の間あたりを指す

・左手の拳が2〜3個見える

となります。

鏡などを見ながら作ってみてください。

フックグリップの説明は以上となります。

「フェースを返す」

「インサイドアウト軌道にする」

この2つを同時にやらなければならないと考えている方は、まずはフックグリップにして対症療法であろうとフェースが開く問題をさっさと解決し、そして、本題のインサイドアウト軌道のマスターを進めてほしいと思います。

「スライスの原因と対策その4」でも引き続きアウトサイドイン軌道対策の話をしますが、実際にインサイドアウト軌道を修得するための

「インサイドアウト軌道を修得するドリル」

について説明します。

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