コラム

■パッティングの「良い転がり」とは何なのか

前回までの記事では

・パッティングで真っ直ぐストロークするのは100%間違い

    ↓

・インサイドインが正解

    ↓

・インサイドインなら何でも良いわけではない

    ↓

・「オンプレーンストローク」が正しい

    ↓

・オンプレーンストロークをすると、

「球の転がりが良くなることで方向性と距離感が良くなる」

「再現性が高くなる」

「スムースな動作になるので距離感が出しやすく、フェース面が狂いにくいので方向性がよくなる」

と説明してきました。

今日は、

「オンプレーンストロークとは何か」

を説明しようと思ったのですが、その前に

「良い転がりとは何なのか」

ということを説明します。

まずは、良い転がりのメリットを説明します。

良い転がりだと、何が良いのか?

結論から言うと、

「距離感と方向性が良くなる」

ということです。

なぜ、転がりが良いと、距離感と方向性が良くなるのか。

その具体的なメカニズムを説明します。

まず、データとして、パットが得意なプロと、苦手なプロ、がいます。

データとして、出てしまっているということです。

そして、あるクラブメーカーがパター作りの参考にしようと、数名のプロのパッティングを科学的に分析しました。

その結果、いくつかのことが分かったのですが、最も大きな違いは

「スリップ距離の違い」

でした。

実は、パッティングでボールを打ち出した瞬間から一定距離、ボールはスリップ(又はわずかなジャンプ)しています。

打ち出した瞬間からボールが順回転するということはありません。

一定距離、順回転せず、ボールはスリップ、又はジャンプしているのです。

逆回転もせず、順回転もせず、そのまま移動している、もしくは、ジャンプして逆回転をしている、ということです。(厳密には、ほんのわずかな回転をしているが)

これは、高速カメラの撮影で明らかになったことです。

そして、

「パットが上手なプロほど打ち出してから順回転をはじめる距離が短く、パットが苦手なプロほど順回転をはじめる距離が長い」

という結果が、出ました。

その差は、あまりに明らかでした。

では、なぜ、スリップ距離が長いとパットが悪くなるのか。

スリップしている時の転がり、方向性、はね方は、読みにくいからです。

読みにくい転がりが長いということは、距離感、方向性が出しにくいということです。

例えるなら、少しグリーンを外したところからパッティングするようなものです。

グリーンまでの距離(フェアウェイの距離)が長いほど、ボールの転がり、はね方、方向性は読みにくくなります。

グリーンまでの距離が短いほど、読みやすくなります。

フェアウェイをパターで転がすということは、予想しにくい転がりをするからです。

これは極端な例ですが、スリップ距離が長い、短いは、これと本質的に同じです。

「じゃあ、打った瞬間から順回転するパッティングをすれば良いじゃないか」

と思ったはずです。

たしかに、地面がフローリングのように、真っ平らな状況であれば、その方が良いです。

しかし、グリーンは芝です。

多少だが、ボールは芝に埋れます。

打ち出した瞬間、芝に埋れたボールを、わずかに掘り起こさなければならないのです。

そのために、パターには4度くらいのロフト角がついているのです。(それだけでは無いのですが)

もし、グリーン上でロフト角0度のパターを使い、打った瞬間から順回転するような打ち方、もしくは、ボールを全く掘り起こさないような、打ち出した瞬間から真横に転がるような打ち方をしたらどうなるか。

地面と芝の影響により、ボールが跳ねやすくなってしまいます。

それも、打ち出したあと、ボールが地面に向かってぶつかった反動で跳ねるような形になるので、エネルギーがロスする、最悪の跳ね方になります。

スリップするよりも、さらに距離感と方向性が悪くなるような打ち方です。

実際、そのような打ち方をするプロはいないし、そんなパターはまともなメーカーであれば、作りません。(例外的には有りますが。)

「打った瞬間から順回転する打ち方が良い!」

というようなレッスン記事やフレーズがあるが、それはイメージ論です。

今回の私の話は、もっと厳密な話です。

厳密には、スリップ距離が短い打ち方が良い、となります。

イメージ論が全て悪いとは言いませんが、私の記事を読んでいる方は厳密な定義を知りたいと思っている方が多いと思うので、厳密な話をしているわけです。

そもそも、そんなイメージ論で解決できているなら、苦労して知識を身につけようとはしないはずです。そして、ほとんどのゴルファーがそうです。

結論として、スリップ距離が短い方が、良いパッティングができるということが、メーカーによるプロの分析によって明らかになりました。

それが、「良い転がり」の秘密だったのです。

つまり、スリップ距離が短いほうが良い転がりで、スリップ距離が長いと、転がりが悪くなるのです。

よく

「転がりが良いから、球足が伸びる」

と言いますが、たしかに、良いパッティングは良く伸びていくように見えます。

しかし、厳密には、スリップ距離が短いために、ブレーキがあまり掛からないという話しなのです。

なので、実際には、

「あまりブレーキが掛からない」

ということになります。

しかし、見た目には「球足が伸びる」というように見える、ということです。

では、スリップ距離が短いプロ(上手いプロ)、スリップ距離が長いプロ(苦手なプロ)、両者の打ち方は、何が違ったのか。

なぜ、同じ道具を使って打っても、スリップ距離が変わったのか。

その理由はいくつかあったのですがが、分析により、最も

「決定的な理由」

が明らかになりました。

その「決定的な理由」については、次回の記事で具体的に説明します。

パッティングにおいてとても重要な内容になるので、確実に読んで欲しいと思います。

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